住宅取得資金等の贈与の特例

ktbep.com 北別府会計事務所
先日受けた相談について。

住宅取得時の金融機関からの借入を早期返済し、親からの借入に 切り換えることを検討していると言う。親からの借入に対する金銭 消費貸借契約書の記載に関する相談であった。(※1)

返済条件等の内容を整備して贈与にあたらないようにしたいわけだが(※2)、 当初の借入の状況を聞いたら、住宅取得資金のうち、300万円は親から贈与を受けたとのこと。 300万円までは贈与税はかからないでしょうと言うのだが...

いくつかの条件を満たす場合(※3)、特例計算の結果、550万円(このケースの 当時は、300万円)までは、贈与税がかからない。(※4)

この時、相談主は贈与税の申告は、しなかったという。 しかし、上記の特例を受けるには、申告が必要なのだ。(※5)
案外、失念するケースが多いので要注意。

期限後申告の場合も、この特例は認められるので、前年以前に、対象となる贈与を受けた場合は 贈与税の申告書を提出してください。

(※1)住宅ローン控除との関係
親からの借入は住宅ローン控除の対象とならないため、同控除を 受けられなくなることに注意する必要がある。

(※2)親子間等の金銭貸付
返済期限を定め、返済の事実が分かるように銀行振込等の方法によることを定める などの記載をすることになる。
また、金利については、金利相当額が小額である場合や課税上弊害がないと 認められる場合は、強いて課税されないこととなっている。(相基通9-10)
住宅公庫や銀行の住宅ローンの利率を参考に、贈与税の基礎控除額(平成13年分からは、 110万円。以前は60万円。)を超えない程度がひとつの目安と考えられる。

(※3)住宅取得資金等の贈与の特例の要件

  1. 父母または祖父母からの資金贈与。
  2. 住宅取得に充てるための金銭。
  3. 国内に住所を有する個人で、その年の所得が1,200万円以下。
  4. 過去5年に自己と配偶者の所有する家屋に居住したことがない、または過去5年内に居住した所有家屋を贈与の翌年末までに譲渡。
  5. 過去にこの特例を受けたことがない。
  6. 一定の住宅用家屋の新築、取得、または増改築。
  7. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住または遅滞なく居住見込み。
(※4)非課税限度額
平成13年分から550万円。以前は300万円。

(※5)特例の適用手続
贈与税の申告書に特例の適用を受ける旨を記載し、一定の書類を添付する。

(2001/10/2)

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